運動能力

2018年3月19日

ひざを曲げると遅くなる!オフ・ザ・ボールのスピードをアップするタニラダーのレッスン(2)

■「ヒザをロック」してタイムロスをなくす

次は試合中によくある『前後の動き』です。
相手の動きに合わせて前に出たり、後ろに下がったりして対応するなど、多くの場面で必要な前後の動き。ここでも谷さんは「ひざを曲げると遅くなる」と言い、足の爪先を正面に向けて踏み込むのではなく、斜め方向に向けていきます。

「右足で地面を押して後ろに進む場合、右足の爪先は時計の針の10時の方向に向けます。前に進む場合には、半身の後ろ足である左足も10時の方向に向けて地面を押します。つまり、下半身を半身にし、上半身は肩1つ分正面に向いた安定した半身の状態で、前足で地面を押すか、後ろ足で地面を押すかの違いだけです。そうすることで、ひざが曲がりすぎない態勢になり、踏ん張る時に地面から力を受け取ることができます。これは『ヒザをロックする』というのですが、太ももやひざに過剰な負荷をかけないためにも、覚えておいてほしい足のつき方です」


▲左がヒザをロックした状態。

右足でターンをするときは、爪先は10時。左足でターンをするときは、爪先は2時の方向を向けます。これがヒザをロックした状態で、地面からの力を得やすいつき方です。
この動きを身につけるため、最初はフリーで、次はタニラダーを使ってラダーのマスに足をついて進んでいきます。谷さんが「この動きの回路を体に染み込ませよう」と声をかけると、黒崎選手の動きのテンポも上がってきます。

▼タニラダーを使ったバックステップのトレーニング
(ヒザをロックすることを意識してステップを踏む)

さらに、斜め後ろ方向に進む時のステップを習得するため、ラダーを横に置いて、足を入れていきます。これは「守備のときによくある、斜め後ろ方向に動く時のステップ」です。足を踏み変えることで体の向きを瞬時に入れ替え、人とボールの動く方向へと対応していきます。そして、ラダーなしで右後方、左後方と下がりながらステップを踏み、体の向きを瞬時に変える動きを染み込ませていきます。

黒崎選手は2時間に渡るトレーニングの後半になると動き方のコツをつかみ、軽快にステップを踏んでいました。トレーニング後には「腕の振り方や肩、ひざ、拇指球のラインを一直線にするなど、動きのコツをたくさん知ることができました。アメリカではスピードで抜かれる場面が多かったので、教わったターンの仕方や走り方を意識してトレーニングして、来シーズンに生かしていきたいです」と、充実した様子で話してくれました。

トレーニングを終えた谷さんは汗を拭きながら「伸びしろがたくさんありますね」と笑顔を見せ、「この動きができるようになれば、プレーが別人のようになると思います。短時間で目指す動きを身につける勘の良さがあったので、あとはここで体験した動きを自分で繰り返して、体に染み込ませることですね」とエールを送っていました。動きのコツを教わった黒崎選手の、来シーズンの活躍が楽しみです!


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